〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第13章 変革の一翼
大人しくなった女…というより少女にジルは手枷を嵌めようと後に回り込む。
ジルが後に回った瞬間、それまで大人しくしていた少女が再び逃げようとして、立体機動装置のグリップに手を掛けアンカーを射出しようとした。
だが、当然ジルはそんな事は見通しており、少女の首に己の腕を通し、思いっきり首を締め拘束する。
少女の耳に口を寄せ、静かに言い聞かせる。
「大人しくしてと言ったはず。
それが出来ないなら大人しくさせる方法があるけど試してみる?」
ジルの台詞に少女はビクッと体を硬直させた。
どうやらジルの言葉に偽りがない事を悟ったらしい。
ジルはその隙に手枷を嵌め、少女が着けていた立体機動装置を外す。
装置を外して右手に少女、左手に装置を持ちエルヴィン等がいるであろう方向に向かって歩き出した。
途中、ローエンも捕獲に成功してエルヴィンの元に向かおうとしていた所にジルも加わった。
「なんだよ!ファーランまで捕まちまったのかよ!」
「そういうお前もだろ、イザベル…」
「くっそー!離せよ!」
手枷を嵌められてもなお、抵抗するイザベルという名の少女にジルは段々と苛立ってくる。
「何度言わせるつもり?
もう面倒だから気を失わせて運んでやろうかしら…」
荒っぽい方法でイザベルを黙らせようとするジルにこの女ならやりかねないと感じたファーランは、イザベルを説得する。
「イザベル、やめろ。
この女ヤバいぞ…」
小声で話しているようだが、全てジルに聞こえていた。
エルヴィン達の元に近付くと彼等の様子も見えてきた。
どうやら、リーダー格の男も相当に抵抗しているようだった。
エルヴィンに接近戦を仕掛け、殴りかかろうとする所でミケが合間に入り何か言ったのかジル達を見ると今までの抵抗が嘘のように男は制止したのだった。