〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第13章 変革の一翼
当然、エルヴィン等は冷静にこれに対処する。
予測不能な巨人達相手に何年も生き残ってるのは伊達ではない。
来た道をまた戻る男達は何か考えがあるのだろうか、途中で三手に分かれた。
これを見たエルヴィンは即座に指示を出す。
「リーダー格の男は俺とミケで。
小柄な奴をジルが。
もう一人はローエンが追え」
指示を出され、ローエンとジルは左右それぞれに、エルヴィンとミケはそのまま正面に分かれた。
小柄な奴を追うジルはちょこまかと逃げる相手に余裕な態度でどんどんと追い詰めていく。
「かぁーっ!何なんだよ!お前!!」
前を行く小柄な奴の声が聞こえる程、距離を詰めたジルはここで気付く。
声音からしてこのゴロツキは女だ、と。
だが、女だからと手加減してやるつもりは無い。
そう…エルヴィンの計画の為には何としてもここで捕まえないと。
ジルはグリップを握り直し、目標の女より慣れた手つきで立体機動装置を巧みに扱う。
アンカーの射出距離を伸ばし、焦った女がアンカーを刺した場所より先の距離にアンカーを打ち込み、早い勢いでワイヤーを巻取り、女が前を行くのを阻止する。
そしてその勢いのままジルはブレードを装着させると女に向かって体当たりする。
派手な音をたて、地面へと落下した女に近づき女が体勢を整える前にその首にブレードを突きつけた。
「大人しくて。
命まではとらないから」
冷たく言い放ったジルの声が静かに響いた。
首にブレードを突きつけられたイザベルは息を飲み、観念したかのように大人しくなった。