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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第13章 変革の一翼


「お前はなにか真っ当ではない手段でロヴォフの意見を変えさせようとしているのだな?」

キースの的を射た発言にエルヴィンは何も答えなかった。
何も答えないという事はそれが当たっているからだとキースは思った。

「…いくら壁外調査のためとはいえお前のような若者が…
王都は伏魔殿だぞ…
無事帰ってこられる算段はあるのか」

聞かれたエルヴィンは馬車から体を出し強い声音で応える。

「団長。
私は調査兵団に入って、実際に巨人と戦うことで人類がいかに危うい状況に置かれているのかを知りました。
財産も権力も崇高な理念も。
もし、壁の中へ巨人が攻め込んでくれば一瞬で全てが消えてしまう…」

エルヴィンは一度言葉を切り、力強い目でキースを見た。
そして続けざまに言葉を発する。

「だからこそ私は─我々はたとえどんな卑劣な手段を用いようとも巨人から世界を取り戻す努力を放棄してはならないのです─絶対に!!」

この力強いエルヴィンの言葉と信念のある目にキースは折れた。

「……分かった。
お前に任せよう。
我々はなんとしても未来への希望を繋がねばならん」

「はっ。
まずは五日後の議会へ最初の一矢を放ちます」

これが数週間前の話である。
そしてこの話から数日が経ち再びキースとエルヴィンは総司令部、総統ザックレーの元を訪れていた。

「通ったよ。
まさかロヴォフ議員が意見を変えるとは思わなかったが──キース、君はその理由に心当たりはあるかね?」

「いえ…自分はなにも…」

キースのこの答えにザックレーはそうか、と一言呟き、キースの横にいるエルヴィンに一瞬、視線を向けるもすぐに戻した。

「しかし、依然廃止の声は大きい。
今回は何とか了承を得たが、次回があるとは保証できん。
状況を変えるためにも今期で大きな成果を上げてきたまえ」

「はっ」

「最善を尽くします!!」

二人の返事を聞くとザックレーは以上だと言い、二人の退室を促した。
だが、エルヴィンはザックレーに何やら聞きたいことがあるらしく、ザックレーに話しかけた。
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