〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
「エ…ルヴィ…ンッ…
も、もう…やめて…!」
ジルは耐えられなくなり、ズルズルと座り込んでしまった。
座り込んでしまったジルをエルヴィンは近くの椅子に座らせてやり、エルヴィンはジルの目線の高さと同じになるよう片膝を着いて相対する。
「今みたいな顔を他の男に見せるなよ」
「エルヴィンとしかこんな事しないから見せようにもエルヴィンしか見せないもん…」
ジルは恥ずかしくてエルヴィンの顔を見れず、横を向きながら幼い頃のような言葉遣いでエルヴィンにそう話す。
この発言にエルヴィンは破顔するように声を上げて笑った。
「そうだな、お前のこの表情を見れるのは俺だけだな」
「うん…」
「さて、もう夜も遅い、途中まで送る」
さすがに同室の数人の女性兵士がいる部屋まで送るのは気が引けたエルヴィンは途中まで送ってくれた。
部屋に入り、ジルは起きている同期達に一言二言声をかけ、さっさと寝支度を済ませると自身の寝台へと潜り込んでしまうのだった。