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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第12章 二人の想い


翌日。

共同墓地に今回死んでった仲間の名が記された墓石が並んでいた。
殆どが知らない名前だったが、一人は調査兵の一員なら誰でも知っている名があった。
それは第十一代調査兵団団長の名前だった。
その墓石を中心に兵団幹部が整列している。

「次の団長はキースだ。
頼んだぜ」

一人の幹部の男がキースにそう言って肩を叩いた。







一通り葬儀は終わり、兵士等は解散していく。
その去っていく兵達の中にミケを確認したジルはミケの背に向かって呼び掛けた。

「ミケ!
あの、ちょっと話がしたい…」

昨日の出来事があって少し気まずいジルは視線をミケに合わせられない。
下を向くジルにミケはわかった、と一言告げ、少し離れた所に向かう。
それに慌ててジルもついて行く。











「それで、話とは?」

ミケも話の内容が昨日の事というのは分かっているだろうが、あえてこう切り出した。


「あ、あの、その昨日の事で…
えっと、その、ごめんなさい…」

「ジルが謝る事では無いだろう。
それと、良かったな。
おめでとうジル」

「え?
あ、あぁ、うん、ありがとう…
でも、ミケ…」

意外な反応を返すミケにジルは一瞬呆けるも、直ぐに気を取り直しお礼の言葉と共にミケへの気持ちに応えられない事を伝えようとした。


「俺の言った事は気にするな。
元より俺には分が悪い掛けだった。
三年前からわかってた事だ」

「あ、えっと、ごめん…」

何ともないという感じで話すミケにジルは謝罪の言葉しか返せなかった。

「謝るな。
好きな男がいる女を勝手に好きになったのは俺だからな。
さっきも言ったが、お前が謝る事ではない。
伝えるつもりもなかった想いを伝えたのは俺だ。お前に非はない。
だから、俺たちの関係は今まで通りで構わない」

そう言うとミケはジルの頭を一撫でするとジルに背を向けてその場から立ち去って行った。

その背を見ながらジルは申し訳なさを感じたが、どうする事も出来ないことなのでミケの優しさに甘える事しかできなかった。
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