〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
「ミケ!」
ミケの名を呼ぶものの、ミケ当人は振り返ることも無く談話室を出ていった。
ジルは追いかけようとしたが、追いかけて何て言うのだろうか。
エルヴィンが告げた言葉は事実であるから否定の言葉も言えない。
だからと言って肯定する言葉を言って何になる…
結局、ジルはそのまま出ていったミケを追いかける事もなくその場に留まった。
「ジル」
出ていったミケの背を見送りそのまま扉を見つめるジルにエルヴィンは名を呼んだ。
「エ、エルヴィン…
あんなことミケに言わなくても…」
「ミケ、だからだな。
あいつはお前の事を好いているんだろう?
傍から見ていれば分かる。
だから、アイツに望みはないことを知らせただけだ」
だからと言ってあんな言い方しなくても…
ジルを想ってくれてるミケにジルがミケではない他の男とキスをしていた事を、ましてやそのキスでジルが善がっていたなんて自分がミケの立場だったら酷く傷付くのではないか?とジルは思った。