〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
ミケはジルとエルヴィンの間に入ると、エルヴィンから遠ざけるようにジルをその背に隠す。
「ミ、ミケ!ち、違う!!」
「違う?エルヴィンを庇いたいのは分かるが、今顔を手で覆う程に泣いていたんだろう」
「そ、それは、そういうのと違くて…その…」
この現状を盛大に勘違いをしているミケにどう伝えれば良いのか回答に困るジル。
正直にエルヴィンとキスを交わし、グズグズに蕩けてしまって恥ずかしくて顔を覆ったなど、ミケに言えるわけない。
だって、ミケはジルの事を想っているのだから……
「ミケ、俺とジルは恋人同士になったんだ。
漸く想いが通じてジルと口付けを交わしていてね。
それで彼女は今恥ずかしくて顔を覆っていたんだ」
「…………は?」
ジルが何と伝えようか迷ってる隙にエルヴィンがサラッと爆弾を投下させた。
「ちょ、ちょっと!エルヴィン!」
先程よりさらに顔を赤くさせたジルがエルヴィンにキッと睨みを入れ怒る素振りをみせた。
「そういう事だ。
まぁ、俺とのキスで良くなって泣いてしまったから、あながち俺が泣かせたことには違いないがな」
「………」
ミケは黙ってエルヴィンを睨むと、ジルに向き直り、良かったなと一言告げてそこを立ち去って行く。