〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
「エルヴィン…」
以前、口付けされた時の冷たい瞳はきっと、エルヴィンが言う自責の念に駆られ自分を責めた時に見たものだったのか、今見えるエルヴィン瞳からはそのような冷たさはなく、寧ろ熱く、情念が籠ったようなものだった。
「あの時、お前が俺を想う気持ちは分かっていたが今はどうなんだ?
お前を悪戯に傷付けた俺にまだチャンスはあるのだろうか…」
エルヴィンの切なそうにこちらを見る表情にジルは決意した。
「エルヴィンの…
エルヴィンの気持ちが私が想うエルヴィンへの気持ちと同じものなら、私はエルヴィンと今の関係じゃなくて…もっと進んだ関係になりたい……」
エルヴィンに己の気持ちを伝えると、エルヴィンの両手で包まれたジルの頬は熱を持ち赤くなる。
そしてエルヴィンを見つめる瞳には嬉しさなのか恥ずかしさからなのか、薄く水を張り、熱に浮かされたような甘い瞳に変わる。
「ジル…」
この表情を見たエルヴィンは一言ジルの名を呼び、両手に包む顔に自らの顔を近づけると二人は目を閉じ互いの唇に触れ合わせるように優しく口付けるのだった。