〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
「どういう事ってこういう事だ」
エルヴィンはそう言って、席を立ちジルに近づくと、座っているジルの体を立たせ、自分の元へ引き寄せ抱きしめたのだった。
これにはジルも大層驚いた。
一瞬、硬直させた体を今度はジタバタと軽く暴れさせた。
「あ、あ、あの、エルヴィン!
そ、そういう揶揄うのはやめてと前にも言ったと思うのだけど!
そ、それにその好きな人とはどうするの!?」
なんとかエルヴィンから離れようとジルはエルヴィンの腕からの拘束に必死に抵抗したが、流石はベテランの域にかかる兵士であり、男でもあるエルヴィンとの力の差は歴然だ。
ジルが腕から逃れようと必死になるとエルヴィンは更にその腕に力を込めジルを大人しくさせた。
「あの時は、まだちゃんとお前への想いを自覚してなかったんだ。
何とも思ってない、ましてや妹にしか思ってなかったはずのお前に口付けした俺はとても低俗な男の欲をお前にぶつけてしまったと思って、自分がひどく最低な人間なんだなと…」
「…ッ」
「それと、マリー…彼女とは何も無かったんだ。
俺が調査兵団を選んだ時、恋人は作れないと思ってその想いに蓋をした。
ただ、今考えれば本当はお前を求めていただけかもしれない…」
この告白にジルはホッとした。
そんなジルの様子にエルヴィンはジルへの拘束を緩め、両手で両肩を掴み少し距離を取らせると、今度は両手で#ジル#の顔を包むように持ち上げ二人の顔をしっかりと見つめ合えるように固定した。