〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
「あっ!えっと…」
エルヴィンはジルの事を何とも想ってないだろうが、ジルは未だにエルヴィンの事を想ってる。
そんな好きな男の前で鳴る腹を恨めしく思うが後の祭りだ。
羞恥に耐えられずキョトンとするエルヴィンの顔から視線を外し、足元を見ながら言い訳を考えるも何も浮かばなかった。
「ククッ…」
そんなジルの様子にエルヴィンは口元を手で覆い、笑いが漏れないように努めているが、それはなんの意味もなく、漏れ出る笑い声はジルの耳まで届く。
ジルが顔を上げてエルヴィンを肩を揺らして笑うのを必死に耐える姿を見るとジルは、どうでも良くなり一言恨み言を言ったのだった。
「すまない、飯の話をした途端鳴るものだからおかしくてな。ククッ」
まだ笑うのか!とジルは少し怒り気味に反論した。
「もぉ!生理現象だもん!仕方ないじゃないッ」
「まぁ、そうだろうな。
丁度いい。一緒に外に食事にでもいかないか?
俺も事後処理に追われて飯まだなんだ。
それにいつぞやに誘った時のリベンジって事で」
多少の気まずさはあるものの、断る理由も無い所かこのままだと夕飯にありつけないのはジルにとっても良くない。
「わかった。
服は兵服のままで良い?」
ジルは返事を返すと、エルヴィンに確認をとる。
「あぁ、構わない。
俺もコレで行こうと思ってるからな」
二人はそのまま食事を摂るため兵舎を出ていった。