〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第12章 二人の想い
ジルがウジウジ悩むのをやめ、星空鑑賞を再開させ少し経った頃、背後からジルの肩を叩く者が現れる。
「ジル」
「─ッ!」
肩を叩かれたジルは人がいるとは思ってなかったからなのか、ビクッと体が反応して驚く素振りを見せた。
ジルが肩を叩いた人物に向き直るとそこにいたのはエルヴィンだった。
「エルヴィン…」
「いつから、ここにいたんだ。
肩がだいぶ冷えているみたいだが」
「えっと、馬の世話が終わってからだから夕方からかな。
初めての壁外調査が終わってちょっと拍子抜けしちゃったのかも」
ジルは自分の悩みをエルヴィンに伝える事を避け、適当に返した。
「そうか。
初めての壁外調査の後はそんなものかもな。
とはいえ、まだ夜は冷えるからな風邪なんか引くなよ」
「う、うん」
「夕方からここに居たってことは、ジルお前まだ夕食を取ってないのか」
エルヴィンに言われるまで食事のことなど忘れていたジルだったが、急に腹が空腹を訴えるかのように静かな空間にジルの可愛らしい腹の虫が鳴った。