〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第11章 壁の外へ
「そんな事より貴方達はどうだったの?初の壁外調査は」
ジルから話を振られた二人のうち、ローエンは直ぐに言葉を紡いだ。
「どうって言われてもな…俺はとにかく先輩たちに着いてくのに必死だったしな。
それに入団直後の初の壁外調査で団長があんな事になってな、何と言うか団長みたいな人でも死ぬ時は一瞬なんだなって」
厩の柵にもたれながらローエンは重く息をつく。
直属の上司でもない、入団したての新兵にとっては所属兵科の団長といえど、亡くなった事の悲しみより驚きのが勝っていた。
「俺はともかく、エルヴィン班所属のミケは流石と言うべきだな。
団長がやられた時のあの混戦状態でミケは先輩たちと一緒になって巨人討伐してたくらいだ」
ローエンからミケへと話題が移るが、ミケはフッと鼻で笑うきり、その話題には乗ってこなかった。
「それより、明日は合同で葬儀をするそうだ。
葬儀をする遺体なんか殆どないというのにな…」
ミケのこの言葉に二人は絶句する。
葬儀をすると言っても、形式上での話だ。
亡くなった彼等の身体は殆どが持ち帰ってやれなかった─
団長の身体ですら。
いずれは自分達も身体がない葬儀をあげられてしまうのだろうか。
調査兵団という場所はそういう所なのだと再認識させられた。