第11章 壁の外へ

門を潜り、壁内へと戻ってきた調査兵団に人々は暖かい言葉をかける訳でもなく、ただ冷たい視線、嘲笑、怒号を送っていた。

とても穏やかとは言えない雰囲気ではあったが、#ジル#は民衆から向けられる言葉や態度で先程まで漠然と感じていた壁内への帰還がより現実味を 帯び、あぁ帰ってきたんだな、と実感が湧いてきた。

そして、ジルは改めて大通りを通るこの隊列を振り向きながら眺めた。
ちゃんと確認は出来ないが、少なくともミケやローエンは五体満足で帰還出来たみたいだ。
そして、エルヴィンも。
彼らの無事を確認したジルはそこで初めてホッと胸を撫で下ろした。











兵舎に戻ってきた調査兵達は軽度の負傷者の手当て、荷解き、装備品のチェック、馬の世話等の事後処理に追われていた。
この事後処理に当然の事だが、亡くなった者の確認も含まれた。

重度の負傷者は兵舎だと手に負えず、病院で適切な治療が行われていた。
病院に送られた者、亡くなってしまった者が多く出た故か、今朝感じた活気は感じられなかった…