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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第11章 壁の外へ


ジルが馬上から離れアンカーを指した木に足をつけた瞬間、それは起こった。

「いやぁぁぁぁ!!!
やめてやめてぇ!はなッ──」

ジルの同期の女が巨人に捕まった。
女は悲鳴をあげながら酷く暴れるも、急に静かになった。
巨人の手に力が入り圧迫されて意識を失ったのかそれとも圧死してしまったのか…
この距離からでは判断がつかない。
ジルはまだ生きている事に賭け助ける事に。

女を掴む手を斬るか、このまま項を削ぐか…

ゆっくりと熟考できる時間は無かった。
ジルは項を削ぎ、巨人を討伐する事に決める。
ここで女を救えても巨人を仕留めない限り二人とも危険から逃れることが出来ない。

緩慢な動きで巨人は手に掴む女を嬉しそうに口へと放り込もうと手を口に近づける。

「離せェェェッ!!」

ジルはそう叫びながら巨人の項目掛けてアンカーを射出し、項に近づくとそのまま項を削ぎ落とした。
項を削がれた巨人は蒸気を上げ崩れ落ちていく。

巨人の手から離れた同期の容態を確認したが、胸腹部を圧迫され意識を失っていたみたいだ。
死にはしなかったものの、至る所の骨が折れて重傷なのは間違いなかった。



「ジル!無事か!!」

ジルが同期の女を介抱している所にキースが馬で駆けつけてきた。

「分隊長。
私は大丈夫ですが、彼女が…」

「お前が巨人をやったのか」

蒸気を上げる巨人だった物体をキースは見ながらジルに聞いてくる。

「はい」

「初陣の割に良くやる。
この辺の巨人はもうそろそろ片付くはずだ。そいつは荷馬車で運ぶ。
荷馬車を連れてくるからその後お前は俺についてこい」

「了解です」

その後、キースは一度その場を離れたが荷馬車班を連れ戻ってきた。
負傷した同期の女を荷馬車班に預け、キースとジルは戦列に戻る。
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