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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第11章 壁の外へ


ジル達新兵はベテラン兵達の後方に下がらせてもらい、事の成り行きを見守っていた。






立体機動装置の特性を活かせない平原での戦闘をものともせずベテラン兵は奇行種の討伐にかかる。
騎乗する馬から直接立体機動に移り、予測不可能な動きをする奇行種に補佐役の兵が手足を切り落とす。
そしてその隙に項を狙う兵が弱点の項の肉を削ぎ落とした。
項を削がれた奇行種は蒸気を上げ崩れ落ちていく。
ベテラン兵曰く、今回はだいぶ距離が離れている状態で巨人を確認出来ていたため被害は出なかったものの、これが突如として現れた巨人の場合は、人的被害は免れないだろう、と。
それも奇行種となれば、さらに多くの被害が出ただろう、とも。


どんな歴戦の猛者であっても、巨人の領域ではその肩書きに関係なく死人が出る。
壁外とはそういう所なんだと改めてジルは思った。









奇行種との戦闘からどれくらいのときが経ったのだろうか、ジル達調査兵団は平原から鬱蒼とした森に入っていた。
森に入る前に何体か巨人と遭遇するも、見通しの良い平原では負傷者は出たが運良く死人は出なかった。
しかし、今いる森林帯では立体機動の特性を活かせるが巨人からの奇襲を受けやすい地形であった。
勿論、それはジルにも例外はなく巨人は姿を現した。
ニタニタと嬉しそうに此方に近寄ってくる巨人に悲鳴を上げたのは近くにいたジルと同室の新兵の女だった。
彼女は手綱を握る手が震え身体が硬直してるようだった。
そんな同期にジルは慌てて声をかける。

「ちょっと!立体機動に移るわよ!
どうしたの!早く!喰われたいの!?」

「…あぁ…あ…あ…」

ジルの声が届いていないのか、同期の女は迫り来る巨人を見つめ言葉にならない事を何か言ってるだけだった。
ジルは周りの調査兵を見るが、ジルがいる周辺は巨人に囲まれてしまっている為、他の調査兵も各々巨人と対峙していた。
救援は望めない。
ならば、この巨人は自分等で対処するしかない。
覚悟を決めたジルは目の前の巨人を討伐する為、馬上から立体機動に移ろうとアンカーを木に撃ち込んだ。
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