〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第10章 意外な弱点
自分が揺れているような気がしてジルは眠っていた意識を覚醒させる。
眠りから目覚めるとカルラが働く店にキースと共にいたはずだ、と思うが現在、自分は誰かに背負われている。
そして、その誰かはすぐに気づいた。
エルヴィンだ、と。
「あ、あのエルヴィン?」
「起きたか」
「う、うん。
もう歩けるから降ろして」
エルヴィンは無言のままジルを地へと降ろした。
「えっと…」
「今日は同期といたんじゃなかったのか」
「それは」
「別に分隊長と約束があったと言えば良かったじゃないか。
態々、嘘をつかなくても」
「う、うん」
静かに淡々とものを言うエルヴィンに若干たじろぐジル。
「分隊長に何か悩みでも相談したのか?随分と分隊長はお前に優しいな。
日頃も良く目にかけて貰ってるみたいだしな」
キースに相談など特にした覚えはなかった。
ジルはエルヴィンの話を不思議に思う。
その同時に自分が覚えてない間の出来事に何かあったのかと。
なぜカルラのところにいた自分がエルヴィンに背負われていたのか、キースはどうしたのか、目が覚めて少し時間が経ちジルの脳は正常に機能し始めた。