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ジンと暮らせば【無能なナナ】

第6章 マイ・リトル・ダーリン


日曜日の朝、わたしが惰眠を貪っているとチャイムの音がした。

「ナナ!あそぼー!」

少年特有の高い声でわたしは目を覚ました。
寝ぼけたままドアを開けると小さな恋人がそこにいた。

「おはようナナ。相変わらずねぼすけだね。」
「ふぁー。おはよう......。橘ジンが早起き過ぎるだけだよ......。」
「それより早く遊びに行こう!」
「まだ朝ご飯食べてないってば。」
「コンビニでパン買ってきた!」

橘ジンは手にビニール袋を提げている。

「メロンパンにサンドイッチでしょ、あとプリン!」
「朝からそんなに食べられないよ.....。」
「じゃあ食べてあげる!」
「橘ジンが食べたいのを買ってきただけでしょ?」
「えへへー。バレた?」

橘ジンは笑って誤魔化した。
わたし達は2人で朝ご飯を食べた。

朝食を終えてわたしは身支度を終えた。

「お待たせ。今日はどこに行く?」
「ナナが行きたいとこ行こー!」

結局無難にROUND1に行く事にした。

「ねぇ。橘ジンは何やりたい?」
「のどかわいた!」
「じゃあ何か買ってあげる。」
「やったー!ナナだいすき!」

ジュース1本でそんな事を言ってくれるのなら毎日でも奢ってあげたい。
わたし達はエアホッケー、卓球、ボウリングで遊んだ。
橘ジンはまだ幼いながらも運動神経は抜群で年上のわたしでも敵わない。
うっすらと汗をかき楽しそうに遊ぶ橘ジンを見ていると頬が緩む。

「ねぇ、ナナ。」
「なに?橘ジン?」
「僕が大人になってもこうやって一緒に遊んでくれる?」
「もちろん。でも大人になったら遊ぶというよりもデートかな?」
「え?僕はデートしてるつもりだったけど?」
「え?」
「だって僕ナナの事好きだもん。好きな女の子と一緒に遊ぶのってデートでしょ?」

全く、かわいいやつめ。

「デートには小粋なプレゼントの1つでも無いとダメなんだよ?」
「プレゼント?あるよ。」

橘ジンはポケットから紙切れを取り出した。

「これあげる。」
「『ずっといっしょにいてあげる券』?」
「うん、持ってたらずっと一緒にいてあげる。」
「ありがとう。大切にするね。」
「うん!」

橘ジンは歯を見せて笑った。
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