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ジンと暮らせば【無能なナナ】

第3章 アイ・ウィル


わたしは橘ジンに連れられてダーツバーへとやってきた。

「ああ、ジンさんいらっしゃい。隣の女の子は」
「私の彼女だ。」
「美人さんじゃないか。でもまだお酒は飲めないかな?」
「ああ。だからノンアルコールでオススメを頼むよ。私はコープス・リバイバーを。」

するとマスターと思われる男性は飲み物を作り始めた。

「こちらはシンデレラでございます。爽やかな酸味と風味をお楽しみください。」
「ありがとうございます。いただきます。」

上手く表現できないが、いつも飲むジュースとは違ってどこか「大人」の味がした。

「こちらはコープス・リバイバーでございます。」
「ありがとう。」

橘ジンは嗜むようにコープス・リバイバーを飲んでいる。

「ねぇ橘ジン。ダーツできるの?」
「ああ、得意だよ。」
「じゃあわたしと賭けをしようよ。1番点が高いところに橘ジンが当てられたら何でも言う事を聞いてあげる。もし外したらわたしの言う事を何でも聞いて。」
「面白そうではないか。乗った。」

橘ジンは立ち上がり店員からダーツを受け取った。
そして目を瞑り精神統一をした。
緊張の一瞬。
橘ジンの投げたダーツは真ん中よりもやや高めに刺さった。

「やった!わたしの勝ちだね!」
「何か勘違いをしているようだが、ダーツで最も高い得点は20のトリプルリングの60点だ。中心のダブルブルは50点だ。」

そうだったのか。賭けは橘ジンの勝利だ。

「では私の言う事を聞いてもらおうか。」
「わかったよ...。」
「まず、君の上着の右ポケットにある『それ』を取り出してもらおう。」
「へ?」

私は右腋の辺りに違和感を覚えて、「それ」を取り出した。
真っ黒な宝石箱だ。

「開けて...良いの?」
「もちろん。」

私が恐る恐る箱を開けてみると中には何も入っていなかった。

「もう!人をからかわないでよ!」
「おかしいな。中身は入れておいたのだが。ああ、君はそれを既に身に付けているではないか。」

橘ジンはわたしの左手に目線をやった。
わたしが左手を見ると薬指に指輪がはめられているではないか。

「私の物になれナナ。君に拒否権はない。」

わたしと橘ジンはこうして結ばれた。
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