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ジンと暮らせば【無能なナナ】

第2章 ウェルカムホーム


「ただいま橘ジン! 疲れたぁ!」
「おかえりナナ。今日も一日ご苦労だったね。」

一日の疲れも橘ジンの顔を見ると吹き飛んでしまう。

「夕食を作っている。今のうちに風呂に入ってきたらどうだね。ラベンダーのバスオイルを買ってきたから試してみると良い。」
「ありがとう。じゃあそうさせてもらうよ。」

わたしがラベンダーの香りに包まれてリラックスしている間に橘ジンは夕食を作ってくれている。
彼はいつもわたしに優しい。
なぜそんなにわたしに優しくしてくれるのか聞いてみたら

「私がナナを好きだからだ。それでは何か不満かね?」

と言われてうれしくなった。


風呂から上がりドライヤーで髪を乾かしてからリビングへ向かうと、カレーの良い匂いが部屋に充満していた。

「バスオイル良い匂いだったよ。」
「気に入ってくれたなら良かった。お茶を注いであるから飲むと良い。」
「ありがと。気が利くね橘ジンは。」

わたしはテーブルに着いた。
冷たい麦茶を喉に流し込むと生きている実感が湧いてくる。

「ナナ。もうカレーは出来ているがすぐに食べるかい?」
「うん!おなかすいた!」

わたしがそう言うと橘ジンは平皿にご飯を装ってくれた。

「ご飯はこのくらいで良いかね?」
「うん。」

橘ジンはその皿にルーを注いで持ってきてくれた。
彼は自分の分のカレーを用意して私の向かいに座った。


「では頂くとしよう。」
「うん。いただきます。」

2人で手を合わせていただきますをした。
スプーンでカレーを口に運ぶ。
今日も橘ジンが作ってくれたご飯はおいしい。
彼が作るカレーは爽やかの辛さの中に程よい甘みがある。
仕上げに入れるチャツネが重要なのらしい。

食事をしつつわたしが今日あった出来事を話すと、彼は適度に相槌をしながら話を聞いてくれる。
ただ聞くだけではなく、上手い具合に話を膨らませてくれるので楽しい。


夕食を終えると橘ジンは不敵な笑みを浮かべてわたしにこう言った。

「Nintendo Switchを買ってきたのだよ。1日くらい眠らなくても人間は死にはしないだろう?」

全く、本当に悪い男だ。
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