• テキストサイズ

ジンと暮らせば【無能なナナ】

第9章 アルカホリック・ドリーム


「ただいまー」
「おかえり。今日も一日お疲れ様」
「ありがとう橘ジン。今日の晩ご飯は何?」
「今日は外食などどうかね」

わたしが橘ジンに連れられて来たのは...

「へぇ。こんな所に屋台があったんだ」
「いわゆる隠れ家と言うやつだよ」

屋台の長椅子にわたしと橘ジンは座った。

「おでんはどんな具合かね」
「大根が良い感じだよ」
「じゃあ2つ頼む。それといくつか適当に」
「あいよ。飲み物は?」
「日本酒は何があるのだね」
「今日は良いのがあるよ」

店主は大きな瓶をわたし達に見せた。

「獺祭か、良いではないか」
「それって美味しいの?」
「フルーティーな香りとすっきりとした口当たりが特徴の日本酒だ。これ1本で1万円以上するのだよ」
「え!そんなにするの?」

わたし達の目の前におでんが乗った大皿が現れた。
大根、ちくわ、玉子、ロールキャベツがそれぞれ2つずつ乗っている。
わたしは大人になってから橘ジンにお酒を少しずつ教わってきた。今日は日本酒か、楽しみだ。

「ナナ、君はあまり酒に強くないだろう?あまり無理をしてはいけないよ」
「分かってるって」
「では私達の輝かしい未来に、乾杯」
「乾杯」

盃を交わしてわたしはその日本酒を喉に流し込んだ。
ほのかな甘さが口に広がり、フルーティーな香りが鼻に抜けた。

「どうだね?」
「おいしい!ジュースを飲んでるみたい...ってのは言い過ぎかな」
「良い飲みっぷりだが大丈夫かね」
「大丈夫だって。私もう大人だよ?」
「これは失敬。レディーに対しての無礼を詫びよう」

橘ジンは右指をパチンと鳴らした。すると一瞬で一輪の赤いバラが現れた。

「美しい君にはバラがよく似合う」
「ありがとう。でも恥ずかしいんだけど」
「恥ずかしがる君もとてもかわいらしい」
「だからそういうとこだって」

わたし達のやり取りを聞いて店主は笑い出した。

「若いって良いな!良いもん見せてくれたお礼だ。その酒は俺の奢りにするよ」
「それはすまない。代わりにたくさん注文させてもらおう」

わたしと橘ジンは焼き餃子、モツ煮込み、天ぷらなど様々な屋台料理と美味しいお酒を堪能した。

「ナナ、大丈夫かね?」
「ねむい......ねる......」
/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp