第4章 Episode:04*
久々に会う、私にとって奇跡みたいな存在の彼女ともっと言葉を交わしたくて、頑張って話題を繋げてみた。
「野薔薇ちゃんは、元気だった?学校、実習大変なんだよね…」
「私?うん、だいぶ慣れてきたし平気よ。もテストで忙しいんじゃない?何回も誘っちゃって悪かったわね…」
「う、ううん!私の方こそ誘ってくれたのに断ってばっかりで…」
ブンブンと首を振って、全力で否定した。
全部私が悪いんだから、野薔薇ちゃんが謝る必要なんてないのに。
本当にごめん!と勢い良く頭を下げる。
すると。
「あれ、それ……」
シャラン、と、瞳に映ったのは野薔薇ちゃんがくれたペンダント。
頭を下げた反動で襟元から出て来たらしく、私の視界の中で、ゆらゆら、ゆらゆら。
あ、と思い、急いでそれを手の平で包み込む。
野薔薇ちゃんなんて言うかな、と少しだけ不安になっていると―。
「それ、本当に付けてくれてるのね……」
野薔薇ちゃんの声はいつもやさしいけど、その呟きはもっともっとやさしく、甘いもののように聞こえて。
その声に促されるように顔を上げると、私の身体はそのまま固まってしまった。
「嬉しい……ありがと」
言って、私を見つめる野薔薇ちゃんの顔は、本当の本当に嬉しそうで。
とろけそうな笑みって、こういうのを言うんだろうか。私がとろけてしまいそう。
学校にもこっそり付けていっるの、と抜かれた魂を捕まえて何とか伝えると、そっか、と野薔薇ちゃんはまた嬉しそうに目を細めてくれて。
何だか、私まで嬉しくなった。
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