第4章 Episode:04*
「―おい、んなとこでボーッとしてんじゃねぇよ。邪魔だ」
「っ!、あ、すみませ……」
改札口から出て来た人達とかち合って、漸く我に返った。
もう少しで野薔薇ちゃんが来ちゃうけどど、どうしよう、と考える。
呼吸がままならない位もう胸がいっぱいになってしまったし、今日はこのまま帰ろうかな。
見れただけで、満足。幸せ。
そんなことを考えていると
―野薔薇ちゃんと目がばっちり合ってしまって。
瞬間、心臓が大きく跳ねる。
私を見つけた野薔薇ちゃんはというと、最初はびっくりしたような顔をしていたものの、すぐに表情を和らげてくれて。
笑みを浮かべながら、こっちに向かって来る野薔薇ちゃん。
こっそり帰ろうと思ってたのに、どうしよう。心の準備出来てないよ。
近付いて来る野薔薇ちゃんに比例して、私の心臓の音もどんどんどんどん大きくなっていく。
このままじゃ、野薔薇ちゃんが私の前に立つ頃には、もしかして爆発してしまうんじゃ―……と思ったけど、幸いなことに爆発はしなかった。
ただ、“どうしたの?私に会いに来てくれた?”とやさしい声で促してくれる野薔薇ちゃんに手を引いてもらうまで、その場から一歩たりとも動けなかったけれど。
招かれるままに駅のなかにあるベンチに座って、今だに硬直してる自分を感じながら、野薔薇ちゃんと向かい合った。
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