第4章 Episode:04*
抱いてしまった気持ちへの罪悪感や後ろめたさがそうさせているのだろうか。
ぐるぐる考えてる内に、もう駅に着いてしまった。
あぁもう、早く着いてほしくない時に限って時間が過ぎるのが早い。
覚悟を、決めなくては。
湿り気を帯びてきた手の平を握り締め、一つ深呼吸をして。
どくり、どくり、と重く深い鼓動を刻む心臓を体内で感じながら、駅の前で野薔薇ちゃんの姿を探した。
………………
……………
………
野薔薇ちゃんを見つけられないまま、時間だけが過ぎていく。
(そう簡単に会えるわけ、ないよね…)
あたりも暗くなってきた頃、諦めて帰ろうとした時だった。
(!!)
駅の改札口の方に潔く視界に映ったその人を認めた時、半信半疑だった気持ちが確かなものとなって、一気にドッと溢れ出す。
野薔薇ちゃん
本物の、野薔薇ちゃんだ。
カラカラに乾いていた地面に雨水がしみ渡っていくように、私の心もみるみる内に潤っていって。
あぁ、何だ。やっぱり。
私、こんなにも野薔薇ちゃんに会いたかったんだ。
こんなにも、こんなにも、野薔薇ちゃんを求めてたんだ。
本当に馬鹿だな、私は…会いたくないはず、ないのに。
一目姿を見ただけで、もう泣き出しそうになってるのに。
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