第7章 恋心
恋次はため息をついた。
どうやらルキアの状況も自分と似たり寄ったりだということだろう。
「先ほどの緊急退避というのは、二人の仲を邪魔しないように出てきたということか」
「あぁ。まぁ、隊長に視線でどっか行けと言われたからだけど」
「流石、兄様!他の男に取られる前に、姉様を確保するなど…っ男らしい!」
「―……悪かったな、男らしくなくて」
恋次はため息をついた。
恋次とルキアが付き合い始めて半年。
お互いに昔から気になる存在ではあったものの、恋次の思い切りのなさが最近まで二人が発展しなかった理由でもあった。
すると、ルキアは首を傾げた。
「若干ヘタレなところはあるが、恋次は男らしいぞ」
「…っ/// そ、そうか?」
珍しく褒められて、恋次は頬を染めた。
それにルキアは首を傾げると、ふと思いついたように、ポンッと手を叩いた。
「こうしてはおれん。ではな!」
「え、お、おい?!」
「私はこれから家の者に言って、赤飯の準備をしなければならんのでな!」
「あ、ちょ…っ、ルキア!」
ビュンッという音と共にいなくなったルキアに唖然としながら、恋次は大きなため息をついた。
「―…まぁ、今日は男らしいって言われただけ、よしとすっか」
なんだかんだ言っても、惚れた者負けである。