第7章 恋心
「私がお前を愛していると伝えたら、拒否をするか?」
美穂子は完全にフリーズした。
言われた言葉が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
何を言われたんだろうか。
意味を理解しようと思うけれど、なぜか身体はそれを拒否する。
「―…なんの、御戯れですか」
震える声で、美穂子は懸命に言葉を返した。
すると、白哉は首を振った。
「戯れなどではない。真剣な問いだ」
白哉のはっきりとした声に、美穂子はうつむいた。
すると、頬に白哉の指が触れた。
びくっ、と美穂子の体が震えた。
「顔を―…見せてくれ」
「だ、ダメです」
美穂子は身体を震わせながら、白哉の手を振り払って背を向けた。
ふるふると体が震える。
白哉はその背中をじっと見つめると、ゆっくり手を伸ばした。
ふわりと背後から暖かく包まれて―…美穂子は目を見開いた。
「私は―…お前を愛している」
「な…にを…。白哉さんには…奥様が」
「あぁ、その事実は永久に消えんし、消すつもりもない。けれど―…私は美穂子を愛してしまった。妻を失い、ずっとその傷を背負ったまま生きる私は―…お前を愛する資格がないと、思うか」