• テキストサイズ

[BLEACH] 世界を超えて

第7章 恋心


 白哉は一つ息をついて、部屋に入ると書類を手にした美穂子が振り返った。

「あ、お帰りなさいませ。白哉さん」
「あぁ…今、男が出て行ったようだが」
「―…そうですか。書類でも、置きに来たのでしょう」

 美穂子はくるりと白哉に背を向けた。
 白哉はそれをじっと見つめる。

(―…不安定なお前を選んではいけないのか?)

 美穂子が言うとおりだと思う。
 確かに、彼女の立場は非常に不安定だ。

 十二番隊で美穂子を調べたが、彼女は霊体でないという結論が出た。
 霊体でないのになぜ尸魂界にいられるのか、まだ彼女には謎が多い。

 彼女がいつこの尸魂界から消えてしまうかはわからない。
 ましてや、状況が変わって突然彼女が拘束されたり、死刑となるかもしれない。

 そういう意味で、彼女の存在は非常に不安定なのだ。
 けれど、とも思う。

 だからといって、果たして―…それは彼女を選んではいけない理由になるのだろうか。
 いつ尽きるかわからない命、と言う意味では自分たち死神も同様だ。

 いつ虚と戦って散るともわからない命。
 いついなくなるかわからないから、恋や愛を持ってはいけないというのは理由にならないだろうと思う。

 実際、白哉はもともと命が短いと分かった上で―…妻を迎え入れた。
 たった5年と言う短い間ではあったが、それでも彼女は懸命に生きたし、自分も懸命に愛した。

 その事実を否定などさせはしない。
 そして―…今のこの気持ちも。

「美穂子」

 白哉は静かに、美穂子を呼んだ。
 同時に、視線で恋次を下がらせた。

 書庫から顔を出して、書類を置くと美穂子は白哉のほうへと歩いてきた。
 少し前まで、笑顔を浮かべていた彼女は―…今、とても悲しそうだ。

「―…なんでしょう」
「1つ、尋ねたい」





「私がお前を愛していると伝えたら、拒否をするか?」
/ 89ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp