第7章 恋心
数日後、美穂子の予想は的中していたことを知る。
さり気なくルキアに聞いたところ―…だいぶ前に白哉は流魂街と言うところから妻を迎えたらしいのだ。
その妹がルキアで、少し前まで白哉とルキアの間もぎくしゃくしていたらしい。
今見る限り、ぎくしゃくした印象はないので二人の間で解決したのだろうと思う。
美穂子は六番隊で書類整理をしながら、小さなため息をついた。
今日は白哉と数人の席官が虚討伐へ行っている。
そのため、執務室には美穂子と恋次だけなのだが、現在は恋次が書類を各部隊に届けに行っているので一人だ。
最近は隊舎内であれば一人で移動も許されていた。
多くの目がある隊舎内なら問題ないという判断なのだろう。
美穂子は書類を一枚、再提出の箱に弾くとため息をついた。
このところ、ため息ばかりだ。
出来るだけ白哉の前ではため息を我慢しているが、こうして一人になればついついついてしまう。
(恋がこんなに苦しいなんて―…この年になって知るなんて)
美穂子も社会人だ。今まで恋愛をしてこなかったわけじゃない。
しかし、ここまで胸が詰まるような想いは経験がなかった。
忘れてしまえばいいのに。
叶わない恋なんて、ばかばかしいと思っていた過去の自分に言ってやりたい。
そんなふうに思っても、ダメなのだ。
忘れてしまうには、あまりにも重い想いは美穂子の中でくすぶり続けるのだと。
カタリ…と物音が入口のほうから聞こえて、美穂子は書類を整理していた手を止める。
そこから、一人の男が顔を出した。
「藍野…さん、少しよろしいでしょうか!?///」
「はい。あの…?」
緊張した面持ちで近づいてくる男は、黒死装を着ている。
死神だろうか。
「あ、俺!六番隊の湯川って言います!」
「湯川さん…。書類かなにかのご質問でしょうか?」
今誰もいないので受け取れないんです、と続ける美穂子に湯川は首を振った。
「い、いえ。書類のことじゃなくて…」
「?」
「えっと…その、藍野さんって付き合っている方いらっしゃいますか!?///」
「いえ、いませんけど」
「あ、あの!じゃあ、俺と…その、付き合っていただけませんか!!?」