第7章 恋心
「兄様、ただいま戻りました」
「うむ」
朽木ルキアは六番隊の門で待ってくれていた白哉を見つけると、駆け足で近寄って挨拶をした。
彼是二か月以上、ルキアは現世で新人死神の研修をサポートするために出かけていた。
色々な戦いを通じて、副隊長となったルキアは現世の知識も豊富で、こうした現世での研修に駆り出されることが多かった。
今回も十三番隊と十番隊の合同新人研修で、研修サポートのリーダーを務めていたのだ。
そんなルキアを白哉は待っていた。
長期の出張に出かける妹が帰ってくる日は、こうして自隊の入口で待ち合わせをして帰る。
ルキアの現世の話を帰りながら聞くのが最近の通例だ。
「そういえば、先ほど恋次から朽木家に女性を住まわせていると聞きましたが」
本当なのですか?と首を傾げるルキアに、歩き出そうとした白哉の足が止まった。
すると、ちょっと意外そうにルキアは目を見開いた。
「兄様?」
「―……恋次からどのように聞いたかわからんが、我が家で一人監視のため預かっているのは事実だ」
白哉は何も知らないであろうルキアに歩きながら簡単に説明することにした。
考えてみれば、ルキアがいない間に一人増えているのだから、話しておかなければならないことでもあった。
「あの泉からというのは、また妙な話ですね。とはいえ、それで朽木家でお預かりしているのは納得です」
ルキアは経緯を聞くと、納得がいったように頷いた。
「ところで、どんな方なのですか?」
「見た目はお前とさほど変わらん。美穂子は書類整理が得意で、現在は我が隊と十番隊で仕事をしている」
「―………」
「どうかしたか」
まじまじと自分を見つめるルキアに、白哉は眉を顰めた。
すると、目をぱちくりさせてルキアは首をぶんぶんと振った。
「い、いえ!(女性を名前で呼んだ…?)」
「夕食の時にきちんと紹介しよう」
「は、はい」