第7章 恋心
「御帰りなさいませ。美穂子様」
「ただいま戻りました」
白哉の屋敷まで日番谷隊長に送ってもらった美穂子が玄関を開ければ、パタパタと中から使用人の女性が出てくる。
いつになっても慣れない“様”に苦笑を浮かべながら、家に上がる。
ただの居候なので様はいらないのだと、何度言っても彼女達は聞いてくれない。
最近は反論するをやめていた。
「もうすぐ旦那様も御帰りになります。お食事はご一緒でよろしいですか?」
「はい」
「あ、そうそう。ルキア様が本日帰りになられます」
「ルキア…様?」
「はい。旦那様の義妹君です」
「(義理の妹…?)」
美穂子は首を傾げるが、報告を終えた使用人は慌ただしそうに去っていく。
美穂子はそれを見送ると、部屋へと戻った。
義理ということは、血は繋がっていないのだろう。
養子縁組か、なにかだろうか?
美穂子は不思議に思いながら、足を自室へと向ける。
玄関から長い廊下を歩いていくと、美穂子の部屋の手前には白哉の部屋がある。
まだ部屋の主は帰っていないので、しんと静まり返っていたが。
美穂子は白哉の部屋の前を通過した時、何か室内から光るものが見えて足を止めた。
10cmほど開いた戸から入った月の明かりが室内を照らして―…一枚の写真にあたる。
「―…女の人?」
遠目では細かい表情まではわからないが、とても優しそうな黒髪の女性の写真。
無意識に戸に手をかけそうになって、美穂子は留まった。