第5章 十番隊との出会い
一通りの説明を受けて、美穂子は早速、書庫の中を丁寧に見て回った。書庫はかなり広い。
(こっちの世界は電子化されてないから、仕方がないけど)
美穂子のいた世界はかなり電子化が進んでいる。
実際、美穂子が働いていた会社では、契約書などのモノに価値のあるものは書面で残していたが、それ以外はほとんど電子化されて、全てデータで管理されていた。
そのため、整理だとかそういうことに時間をかけないように効率化を重視した仕事と言うのを要求されていたのだ。
しかし、瀞霊廷はいまだにすべてが書面だ。
六番隊で大量に見る書面や署名、印鑑押しなど、人の手に頼って作られて管理される様子に、美穂子には最初なんて効率の悪い…とため息をつきたくなるほどだった。
すべて人に頼るということは、それだけミスもあるし、時間がかかることだからだ。
けれど、慣れてみればそれも悪くないというのが、今の印象だ。
効率化を追い求めすぎれば、人の生活も効率化が進み、結果的に時間の流れが速くなる。
この世界に来て、それを理解した。
(便利な世の中が悪いわけじゃないけど―…それでも、人として生活するには少し息苦しい世界だったのかも)
もう少し人として穏やかな生活を望むなら-…人の手に頼るのもいいのかもしれない。