第1章 ありふれた日常
そういうと、ルキアは一歩白哉から距離をとって頭を下げた。
「では、私はこれで」
「あぁ」
ルキアは笑顔を浮かべて歩き出そうと、一歩足を進めたところで立ち止まった。
それを白哉は内心首をかしげながら、じっと見つめる。
するとルキアはもう一度白哉のほうへ視線とともに体を向けて微笑を浮かべた。
「―…兄様。静かな日常がきて、嬉しいです」
その一言を少し照れながらルキアは言うと、今度こそそのまま白哉に背を向けてその場を去っていく。
白哉はルキアの後姿をしばらく見送ると、六番隊へと足を向けた。
つい先日、久しぶりに他の隊長達と死神代行を見届けるために現世に向かった白哉だったが―…危惧していたことは、結局起こらなかった。
死神代行は、自分たちの知っている奴で。
何度も危機を乗り越えた男のままだった。
白哉は歩きながら空を見上げた。
ルキアの言うとおり―…この穏やかな日常がいつまでも続くことを心から願いたい。
いつもと同じ、ごくありふれた日常。
そのはずだった―…。