第5章 十番隊との出会い
「さて、本来なら松本から仕事内容を聞いていて然るべきなんだが…」
ちらりと冬獅郎が視線を乱菊に向けると、乱菊はそっぽを向いて自席に戻っていく。
その様子をため息で抗議すると、冬獅郎の視線は目の前に立つ美穂子へと向けられた。
「副官が失礼したな」
「い、いえ。ちょっと驚いただけなので」
美穂子は苦笑を浮かべる。
一度乱された着物は、自身によって元の状態に戻された。
「気をつけろ…としか言えんが、何かあれば俺に言ってこい。出来る限りのことは、するつもりだ」
「あはは、了解です」
美穂子は小さな隊長の気質を少し見直した。
一番隊で会ったときはなんて生意気な!とか思ったものだが、実際に話してみれば、なるほど。
白哉と同じ立場だけあって、きちんと弁えているし、何より悪いと思ったことは謝れる人だった。
乱菊の破天荒な行動には今後も色々とあるかもしれないが、うまくやっていけそうな気がする。
「そうか。では、簡単に藍野にやってもらいたい仕事を説明する。そこの椅子に座ってくれ」
隊長用の執務机の横に置かれた椅子を指差すと、美穂子はそこへ腰を下ろした。
すると、冬獅郎は何枚かの書類を取り出した。
「これが業務契約書だ。ここに書かれている通り、藍野に頼む仕事は基本的に俺が指示した書類だけだ。例え隊がどんなに忙しくても、俺の指示なしに仕事はするなよ」
「はい」
「それから、十番隊勤務については毎月六番隊と調整の上、決定する。ちなみに今月は週2回ということで合意しているが、いいか?」
「はい。曜日などは決まっているのですか?」
「今週は水曜日と金曜日だ。来週以降はお前や六番隊の都合もあるだろうから別途相談の上、決めさせてもらおう。うちとしては出来るだけ定期的な日程であると嬉しいんだがな」
「そうですね…了解しました。白哉さんと相談します」