第5章 十番隊との出会い
ちらりと乱菊の目線は美穂子の胸へと向けられた。
乱菊の胸がふるりと揺れるのと同時に、美穂子の胸も着物の中で揺れた。
「乱菊さんほどじゃないけど」
ちらりと自分の胸を見つめて、小さくため息をついた。
一応、一般的なサイズよりは大きいが、目の前の巨乳ほどではない。
「そう?でも、着物って胸大きいと太って見えるじゃない」
「まぁ…そうかも」
どうしても胸が大きいと、着物の特質上…高さを埋めることをしなければならない。
そうなれば自然に胴が太く補正されてしまうのだ。
(小さいのもいやだけど…大きいのは大きいなりの悩みってのがあるのよね)
着物を着るようになって、それは若干ショックだった。
洋服なら、凹凸を隠さないような服を着たり、少し胸の谷間が見える程度の服を着るなどして胸のせいで太って見えることのないようにすることもできた。
けれど、ここではそうはいかないのだ。
「そうだ、美穂子も着崩しちゃいなさい!」
「え”!?」
「ほらー」
「ちょ…っ、だ、ダメ!乱菊さんっ」
ぐいっと胸元を開けられて、美穂子は慌てて乱菊から離れようとする。
しかし、そこは死神と一般人。
力で叶うわけもなく、あっさりと胸元が開かれた。
「松本。藍野はどうし…って、お前! 何やってんだ!?」
「あら、隊長」
ぱっと美穂子は乱菊の腕から離されて、その場にへたり込んでしまった。
冬獅郎が慌てて美穂子のそばにかけよると、冬獅郎の顔が赤く染まる。
着物が着崩され、大きく開いた胸元からは白い肌が見えている。
最初の印象よりもずっと大きく感じるのは―…冬獅郎が上から見下ろす形になって、その谷間が視線に入るからかもしれない。