第1章 曇りのち雨
本来なら級友と和気藹々と談笑し和やかな学校生活を送るものなのだろうが…何せココは呪術高専だ。
そんなキラキラ学生生活とは程遠い。
登校した次の日には寮の使い方にセキュリティ関連の説明、教員以外立ち入り禁止区域等と高専での生活に必要な説明を受けた。
勿論その間もアイツがいる訳で…
ドンっと立ち止まって説明を聞いてる私の背後にぶつかる何か。
「あっ、ごっめーん⭐︎小さすぎて見えなかったー」
そう言ってケラケラ笑う五条に呆れたように隣に立つ夏油
そして私の隣で何も知らないかのように涼しい顔して説明を聞いてる硝子。
「ハァ…幼稚かよ。」
溜息と共に溢れる私の愚痴は高専に吹く春の風に乗って腹が立つくらい青い空に消えてった。
その翌日には実地試験が行われたのだが組み合わせに悪意しか感じず流石に強面脳筋担任の夜蛾先生に猛抗議をした私。
勿論、私の抗議なんて知らんと言わんばかりにツーマンセルで行われる。
これが組む相手、硝子なら良かった。
百歩譲って夏油でも良かったと思う。
「「何でお前となんだよ」」
お互いあからさまに嫌な顔で同じ言葉を投げつける光景に遠慮無しに笑い出す硝子に笑いが堪えきれてない夏油。
「いや〜仲悪い割に言ってる事が同じなんだから案外いいパートナーになるんじゃないの〜?」
「はぁ?やめてよ硝子、こんなのと組んだら仕事がこなせなくなるし私の実力がバカのせいでパァになっちゃう。」
そう言って大袈裟に両手を頭の上でヒラヒラと振って見せると五条もすかさず言い返してくる。
「それは俺のセリフ、それにお前みたいなチビと組んだら呪霊と間違えて吹っ飛ばしちゃうかも」
五条はこれまた大袈裟に人差し指と親指で人の身長をバカにしてくる。
そんなバチバチの私と五条なんて知らないとでも言うように夜蛾先生は実地試験の説明をする。
互いに協力しあって呪霊を祓う事。
現場の判断力も必要とされる事。
自分の力を過信しすぎない事。
「では両チーム指定の時間までに呪霊を祓ってこい。」
サングラス越しの脳筋夜蛾先生の目はいつになく真剣に何かを見極めようとしているのが分かって身を引き締めた。
「行くぞ、五条」
あいつは返事はしないものの踵を返して一緒に現場へ向かう。