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止まない雨はない

第1章 曇りのち雨


「あっれー?おチビちゃん派手にぶっ飛んで目回してたのにもう起きて大丈夫なの?」


「げっ、五条…」


思わず心の声が口から漏れてしまう。
そんな私の心情を知ってか知らずか五条は話を続けた。


「濱音、飯食ってんの?まぁチビだからその分ね?軽いのは分かってたけどさ〜、あまりにも軽すぎて片手でも運べちゃったよ俺。あ、甘味はツケだからそこんとこ宜しく。」


あぁ、聞かなきゃよかったパート2。
頭が痛くなる、何?吹っ飛ばされた相手に運ばれたの?部屋まで…しかも甘味はツケって頼んでないってのに押し付けてきたようなものじゃない。


五条の粗暴っぷりには正直慣れてしまっているので溜息で流す。


最近はこんな平和的日常が自分の中で居心地良く感じていた。




それでも私は相変わらずで必要最低限の会話しか交わさない。

心地良さは感じるものの一線を引いてしまう。
硝子も夏油も好きか嫌いかと問われれば好き。と答えれるが五条はどうだろう。

口からすんなり好きとは出ないのは普段からの挑発的言葉のせいなのか別の何かなのか。







夏に差し掛かる頃、長期の単独任務が私に入った。





呼び出され任務の内容を担任から説明されているアイツの現場を聞くつもりもなかったのにまるで聞き耳を立ててるかのようになってしまったのは五条。



「正直お前には厳しい出張任務だと思っている。何故か分かるか?」


「いえ…皆目見当も付きませんが……。」


「お前の能力が一部の呪詛師に漏れている可能性がある。」


「えっ、そんな!!!!!!」

慌てるのも道理で高専に入学し最初の方こそハッキリと聴こえていた声も自分で制御できることになったのをきっかけに力を失いかけていた。

実質私はタダの術師なのだ。
問題は能力を引き継げる子を産める母胎としての需要が少なからずある事と狙ってくるのは一定数の呪詛師達。







「つまり私に、そいつらを潰して来いって事ですね?」








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