第1章 曇りのち雨
ごめんなさい…
ごめんなさい…
生きていてごめんなさい…。
いつのまに眠ってしまっていたのか、変な時間に寝ると嫌な夢を見る。と何処かで聞いたことがあるが…まさか本当に視るとは思わなかった。
落ち込んだ気分を晴らそうと自室の水道で顔を洗おうと立ち上がると机の上に見慣れない袋。
「何これ、こんなの置いた覚えないんだけど…」
袋の中身を見て更に謎が深まる。
甘味
見事なまでに甘味
チョコレートに飴玉に羊羹に最中
糖尿病にでもさせる気か?って程の甘味物が袋に詰められていて何故かそれが私の机の上にある。
「ダメだ、寝る前の記憶が曖昧で思い出せない…」
高専に入学してひと月が経って自分にも変化が出てきた。
実地試験で壊れたヘッドホンは意図せず聴こえる他人の声を聞こえないようにする為に作ってもらった特殊な物。
壊れてしまったからには作って貰うにも代金がバカにならない。
それに自身でコントロールが可能という事が分かりトレーニングを欠かさず毎日行った結果。
今じゃヘッドホン無しでも問題なくなった。
そんな事よりも謎の甘味物は誰の物だ?
思い出そうにも頭が痛く思い出せない。
ふと時計を見やって中庭にいるであろう硝子の元へ行くことにした。
中庭にある木の下で煙を片手にボーッとしている姿を見つけ声を掛けた。
「おつかれ硝子、聞きたいことがあるんだけど…」
声を掛けるといつも通りのフニャりとした笑顔で言うのだ。
「あれ?もう大丈夫なの?派手にぶつけてたから1日は寝込むかと思ったけど…意外と頑丈なのね〜」
なんて言うから何のことだと聞いたが今は後悔している。
「聞かなきゃよかった、本当。」
簡単に説明すると…
授業の一環で五条と組み手をしたものの所詮男と女。
力の差は歴然でモノの見事に吹っ飛ばされたそうだ。
そこで疑問が生まれる。
ノビてた私を部屋まで運んだのは誰?先生?硝子は無理だろうし…補助監かな?