第1章 曇りのち雨
バタバタの実地試験は私と五条のチームが先にクリアしたものの互いのチームワークというものが不安視という事があり暫くの間は組手をする際、共同任務の際は五条と組むように言われた。
もちろん全力で嫌な顔をしたがスルーをされた。
そして、この1週間でわかった事。
それは、高専にいる人達は皆んなキャラが濃いけど良くも悪くも会話と心の声…つまり本音に偽りがないって事。
大抵、人っていうのはその場の会話ではニコニコと笑顔を振り撒き相手と仲睦まじそうに話しているもんだが心の底は真っ黒だ。
ドロドロとして気持ちが悪い。
それは私の両親も例外ではなかった。
「早く大きくなるのよ、早く…」
(夜鷹が男なら濱音家の跡取りも私の立場も安泰のハズだったのに。早く自立して出て行って…)
「あちらで遊びなさい。父さんは忙しい」
(目の前でウロつかれるとそれだけで疲れる。母子諸共本家から追い出すべきだろうか。)
男児を望んでいた両親に宗家は表向きでは女児の私にそれとない言葉を掛けてはいたが内心は嫌悪され遠ざけられ不要とされていた。
そんな言葉を長いこと聞き続けていた私はいつしか無口になり機械的に生活をしていく事になったが……
「夜鷹様そちらはいけませんよ」
(なんでこんな気味悪い子供の使用人として働かなきゃいけないのよ。気持ちが悪い)
使用人からも気味悪がられるようになった。
文字通り私は孤独になった。
いくら呪術が使えようと私の存在価値は変わらなかった。
だから黙った、
聴こえる事。
心に干渉できる事を。