第5章 恋
突然私の隣から聞こえた声
「えっ…す、傑くん」
驚きながら私は目を開けて隣を見る。
「も分かっていたんだろう?硝子と私がが呪い(呪霊)である、または呪物を宿しているのを気づいていること」
傑くんはいつの間にか私の隣に座っていた、そのまま膝の上で肘をつきながらこちらを見る。なんとなく前のように1マス空ける勇気はなかった。
動けなかった。
「………うん、多分聞かないのは2人なりの優しさなんだろうと思ってた。悟と一緒にいる時点で何かしら事情があると思ってたんだろうし」
段々と顔が下がり俯いてしまう。
「まぁね、硝子に関してはよく分からないけど。」
「硝子ちゃんのことは私も読めないなぁ…悟も悟で分からないんだけど」
「は今、辛いかい?」
まるで怪しい宗教の教祖のように傑くんが囁く。
そんな声色に私は、はっと顔を上げる。
私の膝の上に置いていた私の手を傑くんは上から包みながら私の目を見る。
「……辛くなんて」
傑くんの目を見れなくてふ、と視線を逸らす。
「分かった、じゃあが考えていること私が当ててあげよう。
きっとは呪いという存在に呑み込まれて自分が自分で無くなることがきっと怖いんだろう?そしてそれを悟にも話せていない」
心がドキリ、と音を立て多様な気がした。
それに連動するように私の中の声がガンガンと頭の中で響く。
(ノロエノロエ、ソイツも呪え、呪いたい)
「もし、が完全な呪霊になってしまった時は」
すっ、と傑くんは私の耳に顔を寄せる。
「私が取り込んであげよう」
まるで、永遠の愛を誓うような甘い声で傑くんは私の耳元で囁いた。
「…ほんと?」
私は目を大きく開いてやっとの思いで声を出す。
「ああ、本当だよ」
なんて言いながら傑くんは私の背を撫でる。
その手つきがお兄ちゃんとそっくりで思わず傑くんへと思っていたことがするりと出てしまった。
「……好きな人と呪いに呑み込まれてからも一緒にいられるなら私はきっと幸せだね」
と、言ってから私は口を塞ぐ
好きな人、と言ってしまった。
この思いを消してしまいたくて、あわよくばこのまま閉まっておこうと思っていたのに。
ちらりと傑くんを見ると目をまん丸にして驚いていた