第5章 恋
きっと私は好きという感情でこの人を呪ってしまう
私の呪いを押し付けて離れないようにしてしまうかもしれない
最低な呪いになってしまうかも
望む死のために生きている私が先に死を迎えて彼を置き去りにする時に…
なんて頭では考えているのに言葉は正直に出てくる。
「好きだから、一緒にいたい、です。」
きっと私は茹でダコのように真っ赤な顔をしている。
それでもこの思いはきちんと届けたい、私よりもうんと高い傑くんを見上げて見つめている。
「私もだよ」
そう言って私の頬に手を添える、だんだんと近づく傑くんの顔
気づけば私たちの唇は触れ合っていた
ほんの一瞬、たった一瞬なのに長い時間に感じた。
ちゅ…というリップ音を立てて離れていく
「ふふ、さらに赤くなって可愛いね。
本当はもっとしたい所だけど今日は我慢してあげよう。
さぁ、冷えてきたから部屋に戻ろう」
まだ少し放心状態の私の手を握り傑くんは歩きだす
ドキドキと心臓の鼓動がとても煩い、傑くんに聞こえてしまうんじゃないかって心配をしてしまう。
無駄に長い廊下が今日は一段と長く感じた
何度も心の中で願う
この幸せな時間がずっと続きますように