第5章 恋
呪術高専に入学して初めての夏が終わり季節は段々と秋になっていく。
まだ半年しか一緒にいないのに硝子ちゃんや傑くんが私の中でどんどんと大きな存在になっていく。
きっと2人は気づいている、例え説明されていなくとも呪術師だ。初めて会ったあの日からずっと。
「……なんで私の事殺さないんだろう」
自動販売機のある一角の椅子に座る、無駄に長い高専の廊下を眺めながらぽつりと呟く。
私は目を閉じる
(呪え呪え呪え、呪いたいタイタイ)
いつものように私の中で響く声、私の中なのかそれともあの日から私は別のものになってしまったのか。
「おにーちゃん…寂しいよ…」
私は目を閉じたままあの日を思い出す。
いつも通りの日常だった、学校が終わりちょっと友達と話し込んでいつもよりは帰るのが遅かったかもしれないけど。
毎日のように繰り返していた日常だったのに。
もしあの日、私が友達と話し込んでいなくていつもの時間に帰っていたら一緒に逝くことが出来たのだろうか?それともあの出来事自体が起きなかったのかもしれない…?
モヤモヤと黒いモヤが目を閉じたままでも蠢き出しているのを感じる。
「どうせ死ぬなら…傑くんに祓って貰えたらなぁ」
ポツリ、と呟く。
「…それはお断りしたいね」