第5章 恋
「大丈夫だよ。私は死なない、怪我はまぁ分からないけど……私は私の望む死のために…ね?」
悟の腕の拘束が緩くなる、私はするっと腕から抜けると背伸びをして悟の頭を撫でる。
心配してくれてありがとう、と
「…子供扱いすんな」
「よしよし悟くん大丈夫でちゅよ〜」
ぶーっと口を尖らせて不満そうにする悟の頭から手を離し私は大阪土産の紙袋を渡す。
「はい、大阪土産!何買ったか忘れちゃったけどね」
「はぁ??甘いものじゃなかったらまじビンタね」
悟は袋の中身を確認しながら自室に戻って行った。
「いやほんと過保護だなぁ…私もう高校生なんだけど」
自分用のお菓子の入った袋を振り回しながら傑くんを探しに向かう。
「あ、いたいた!」
自販機で見慣れたボンタンズボンの彼は椅子に腰かけて休憩中のようだ。
「ん?じゃないか私に何か用かな?」
「大阪のお土産渡しに来たよ〜!」
何となく隣に座るのは気恥ずかしく1マス開けて腰掛けて、
みんなには内緒のお揃いのキーホルダーを入れてある特別製の紙袋を渡す。
「遠征お疲れ様、お土産もありがとう」
にこっと笑いながら受け取ってくれる傑くん。
その後はなんの他愛もない話
夏が終わって秋になったらみんなで何しようかとただ、未来の話をした。
頭の中ではずっと、呪いの声が聞こえたまま。