第25章 光
視線を落としてむっつり黙り込んでいると、ゾロは何を思ったのか膝を折ってあたしと目線を同じ高さまで落とした。
「そんな顔しても仕方ねェだろ」
「分かってるよ。……ローはもう、こうするしかなかったんだって」
つぶやくと、俯き気味のあたしに向かって、ゾロは少し呆れた調子で続ける。
「分かってねェから言ってんだろ。トラ男の事情なんざどうでもいい。何に落ちてるんだ、お前は。……コイツを付けられたことか? それとも、自分自身の不甲斐なさにか?」
その言葉に思わず顔をあげる。
──こんなにも心が苦しいのは。
ローがまたあたしを置いていったから?
それとも彼がそうせざるを得ないほど、自分が力不足だったから?
改めて考えてみると、その2つには明確に違うものだった。
信用していたローにこんなものを付けられたから、ショックを受けているんだろうか。仕方なかったと思いつつ、納得できていないのだろうか。
思いがけない問いに瞬いていると、ゾロは冷たく言い放つ。
「前者なら、お前が迂闊なんだ。お前もルフィも、手放しに人を信用しすぎる。そんなに凹むくらいなら、ハナから信じなきゃいいだろ。本音が別にあるような奴は特にな」
憐れむ様子もなければ、かばう素振りもない。
ただ淡々と、現実を突きつけてくる。
だけど──まっすぐに見つめてくる彼の瞳には、突き放すような言葉とは裏腹の、静かで重い熱が宿っていた。
「…ローを疑えって?」
「せめてもっと警戒することを覚えろ。腹の底まで明かすような奴じゃねェだろ、アイツ。ああいう男は一番タチが悪ィんだ。じゃねェと次はこんなもんじゃ済まねェぞ」
「…なんでそんなことわかるの」
断言するゾロに疑問募る。
あたしの方が一緒にいた時間は長いのに。
確かに、これを付けられたのはあたしが迂闊だったのかもしれないけど。別に悪意があったわけではないことは分かってる。
「あの人はそこまで悪いことができる人じゃないよ」
言い返すあたしに、ゾロはハッと鼻で笑う。
そして、にべもなく言い捨てた。
「阿呆か。海賊に良いも悪いもねェよ」