第25章 光
「トラ男くんは?さっきまでここにいたでしょう?」
あたしは黙って首を振る。
ロビンはそれを見て少し痛ましいような表情をした。
「そう…やっぱり彼は行ってしまったのね」
「ロビンは、ローに会ったの?」
「ええ、あなたが気を失ったときに、実は私もここにいたのよ。戻ってくるまではいるかと思ったんだけど」
「…そうだったんだ」
じゃあ、ローはまたロビンがここに戻ってくるって、知っていたのか。本当に何から何まで、頭がまわる人だ。
きっとあの人のことだから、戻ってくるタイミングも計算して、あたしが敵に遭遇することはないって分かってたんだろう。
何周も遅れて、ローの意図を知るのはいつものことだったけど、相変わらずの卒の無さに思わずため息が出る。
「本当は追いかけたかったんだけど。それすらさせてもらえないみたい」
「なんでだ?飛んでいきゃいいじゃねェか」
お前ならできるだろ、と。怪訝な顔をするゾロに、あたしは黙って左手首を持ち上げてみせた。
「あァ?んだそりゃ」
彼はますます訝しげに眉をひそめたけれど、すぐに、すっと視線を鋭くして低い声で尋ねる。
「海楼石か。誰に付けられた?」
「……分かるでしょ」
あたしがむすっとして声を出すと、打って変わって、ヘぇ、と面白そうな顔をする隻眼の男。そして、顎に手を置いて真面目そうに続ける。
「守りてェ女に手錠つけて放置プレイか…アイツ、そんな趣味あったのか」
「ふざけないでよ」
何を言ってるんだこの人は。
こんな状況で冗談を言う男を思いっきり睨みつけてから、ふと手首の海楼石に視線を落とす。
無性に情けなくて腹が立った。
動けない体が、ますますあたしを惨めにさせる。