第2章 MEN
「ヒロ、ヒロ!どうした!?」
必死に呼びかけるも、彼女は顔を青くし、譫言のように繰り返していた。
「嫌だ、嫌だ」と。
閉じた儘の瞳から水晶のような涙を流しながら。
まだ日は出ていない。大体四時頃だろうか。どうであれ、空がまだ薄暗い。他の皆はまだ寝ているであろう時間帯だ。
同じ第四分隊の仲間である私とヒロは、兵舎で眠りについていた。
分隊長としての仕事や、巨人の研究などで忙しく、しばらくまともに睡眠を取っていなかった私は、泥のように眠ってしまった。
それは、いつも私の補佐をしてくれるヒロも同じ。彼女もきっと疲弊していただろうから、きっとすぐに眠ってしまったことだと思う。
(いつも有難う、ヒロ)
そう心中で呟き、瞼を降ろし、意識を手放した。
しかし、苦しそうな呻き声が聞こえ、目が覚めた。
そこで目にしたのは、双眸から雫を垂らして魘されているヒロの姿。
白昼の柔らかい笑みと暖かい雰囲気は消え、代わりにあるのは苦しそうな表情と彼女の涙。
どういうことだ。
ただ単に悪い夢を見て魘されているとするならば、ここまで憔悴はしていないだろう。
とにかく今の私にできるのは彼女をこの状況から解放してあげることだ。
そう思い、何度もその名前を呼ぶ。
「ヒロ、ヒロ!ヒロ!」
愛しくてしょうがない、その名前を。