第2章 MEN
「ヒロ。おい!聞いているのか、ヒロ!」
やめろ。
「お前は女だからな、子供を製造するくらいしか能がないだろう。黙って従え」
やめろ。
「このアマ。良さげな身体じゃねぇか、連れて帰って廻姦(まわ)そうぜ」
やめろ。
八つ当たって怒鳴る声、自分より下だと見て蔑む声、性処理としての対象として選別する下卑た声。
それらはどれも低くて、太く、濁った声。そう、“男”の声だ。
私はそれが、大嫌いだ。
もし。私が男の身体を持っていたら。
あの時抵抗できていたのだろうか。言い返せていたのだろうか。汚い欲のターゲットにならなかったのだろうか。
――貴方と結ばれる未来があったのだろうか。
分からない。だって私は産まれてくる性別を間違えたから。
筋肉の少ない四肢。膨らんだ胸。月に一度ひどく痛む下腹部。
何故私はこんな身体で産まれた?
何故?私には、理解が出来ない。
「コイツ力も弱いし、抵抗できないだろ。このまま犯すか?」
「そうだな。この女、助けも呼べねぇだろうよ。惨めだなぁ嬢ちゃん?」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
助けて。そう叫びたくても声が出ない。身体が動かない。
嫌だ。助けて。ねぇ、誰か。
ねぇ…………………!!
「ヒロ、ヒロ!どうした!?ヒロ!!」