第2章 MEN
「あぁいや、部下としてもとっても有能でいつも助かっているのは間違いじゃないんだけどさ...........私が言ったのは、恋愛感情としての“好き”だ。女として、ヒロのことが...好きなんだ」
ハンジさんが、私を、好き。
恋愛対象として、私に好意を向けてくれている。
耳を疑うとは、こういう事を言うのだろう。
信じられないな。自分にとって都合が良すぎるから尚更のこと。
聞き間違いだ。
真に受けて本当のことを言ってみろ。どうなるかは明らかだろう。
『私も.......ハンジさんのことが‥好きです…!』
『…え?どうしたの急にそんな事。大丈夫?』
いくら温厚で優しいハンジさんだからといって流石に引くだろう。
脳内でどうなるかシュミレーションしたが、結果は当たり前の如く。
先程ハンジさんには私の過去のことを話したが、それでもドン引きなどせずに最後まで聞いてくれた。
しかし、いきなり私も好きなんて言われてしまっては意味がわからないと思う。
勘違いで舞い上がっていながら実は聞き間違いでした、なんて本当にイタい奴である。
遂に聞き間違いなんていう凡ミスを犯すとは。己の著しいコミュニケーション能力の低下を感じる。
しかし。先程からハンジさんは顔を赤らめているのは何故なんだろうか。
巨人でも居るのか?いや、仮にそうであったのならばすぐさま発狂して捕獲の準備に取り掛かることであろう。
そもそも足音などの前兆がある筈だから、そんなことが起ころうものなら、誰だって気づく。全くといっていいほど役に立たない私でもそれくらいだったら分かるはずだ。
だとするとなんだ。
まさか、本当に聞き間違いじゃなかったのか.......?
そうだとするとハンジさんが赤くなっているのも合点がいく。相手が誰であっても、少なからず人に自分の正直な気持ちを伝えることは緊張するものだ。
「あのさ、ヒロ、さっきの聞こえてた.......?」
聞き間違いか?それとも本当にそう言ったのか?
後者であれば嬉しいが、前者だったら?
どうすればいいんだ。分からない。どうすべきか、考えろ.......!
「もう、答えてよ。ヒロの気持ちが分からないじゃないか」
ハッとした。たった今、ハンジさんの声に気づいた。その時にはもう遅く――
私の唇には、柔らかいものが触れていた。