第2章 MEN
言った。言い切ってまった。
兵士という立場にあり、いつ死ぬかすらも分からないような女である私が。
同じようにいつ死ぬか分からないような、少女に。
「好き」だ、と。
「すみません、ハンジさん.......どのような意味合いなのか、分かり、ません」
「えぇっとぉ...ね...........」
分からない、か。
いくら優秀で頭の回りがいいヒロであれど、急にそんな事言われたって理解できないよね。そりゃそうだ。
「部下として、ですよね…?とても、有難いお言葉です」
やっぱこうなるよね。そうだよね〜うん知ってた。てか滅茶苦茶謙虚だなこの子…そして鈍感。
でも異性愛が圧倒的に多いこの世界では、女である私が同じく女の性を持つヒロのことを仮にあからさまに性的対象として見ていたとしてもヒロが気づかないのは当然と言えば当然かもしれない。
このままヒロの鈍感さに便乗して“部下として好きだった”という要旨にすり替えてしうのも手だと思う。
でも、折角だから。この際ヒロにはっきり言ってみても、いいのかもしれない。
何処に根拠があるのかは分からない。でも、直感的にそんな考えが頭をよぎった。
何故だ。失敗して「あ、いや無理です…女同士とかちょっと…」とか言われちゃったら立ち直れないな…どうするハンジ・ゾエ。よーく考えろ。
「違う」
しかし、私の口から突いて出たのは“違う”、の一言だった。何でだ。いよいよ自分が分からなくなってきた。
「…?あ、先程は勝手な勘違いしてすみません。…さっきの発言は忘れてください」
ほら見ろ、ヒロが混乱しているじゃないか。
もうこうなったらどうにでもなれだ。はっきり言ってしまおう。
「あぁいや、部下としてもとっても有能でいつも助かっているのは間違いじゃないんだけどさ...........私が言ったのは、恋愛感情としての“好き”だ。女として、ヒロのことが...好きなんだ」