第1章 内気な子
「皆さん、ごめんなさいね。うちの柏葉はカメラが回ったり、気を許しあえている人以外には結構内気でね。今も一人で葛藤中なのよ」
そこまでいわないでぇ。
「あ、じゃあ嫌われているわけじゃないんですね!」
赤い髪をした男の子が一安心したかのように、一気に表情が明るくなった。
そういう風に思わせてしまったの申し訳ない。
「あの、ご、ごめんなさい。私、本当にこういう時どうすればいいのか、その」
とりあえず嫌ってはいないということを言いたいけれども、うまく言葉になってくれず、情けなくて目が熱くなってくる気配があった。
あぁ、もう。これでも子役の頃からこの世界にいるのに、カメラが回っていなかったら人と話せないぐらい消極的になってしまうこの性格を何とかしてほしい。
「あ、あの。大丈夫ですか?」
そう言ってくれたのは赤い髪の毛の男の子。さっきからずっと私のことを心配してくれている子。
何だかこの子どこかで見たことのある顔だなと、なんとなくその顔をじっと見てしまう。
「おれ、七瀬陸って言います。このアイドリッシュセブンのセンターをしています!」
そういって七瀬君は、順番にメンバーを紹介していってくれた。七人もいて驚いたけれども、みんなそれぞれの特徴があって、きっと仲がいいんだろうなって思った。
だって皆優しそうな目で七瀬君のことを見ていたから。
「あの、柏葉ななかです。さっきはその、いきなりのことだったのでパニックになってしまってその、ごめんなさい」
とにかく、失礼をあやまらなくてはと思い頭を下げた。
「そんな、頭を上げてくださいっ!」
「僕たちも大勢で来てしまったので」
「え、あの…」
七瀬さんと逢坂さんが慌てふためいてしまったのでまた何か間違ったのかなって思ってまた湊川さんの方を見てしまう。けれども、湊川さんはニコニコしているだけで助けてくれる気配は一切なかった。
「すぐに頭下げるのはその子の癖みたいなものだから、気にしないで。とりあえず仲良くしてあげてください」
そういって湊川さんは差し入れに貰っていたお菓子や飲み物をたくさん持ってきた。
どこにそんな量があったんだろう…。