第1章 内気な子
「あ、そうだ。彼に連絡しよう」
鞄の中に入れっぱなしになっていたスマホを取り出し、彼とのトーク画面をひらける。
収録が終わったのと、今決まったばかりのドラマの報告もかねて連絡する。
ずっと出たいと言っていた監督の作品だと言えば、優しい人だから自分のことのように喜んでくれるに違いない。
そんな彼も今日は同じ局で収録があると言っていたので、きっとそろそろ終わるんじゃないだろうか。
早く返信が返ってこないかソワソワしながら待っていると、コンコンと再びドアが鳴る。
湊川さんならこの後すぐに入ってくるのに、ドアが開く気配がない。
手が塞がっているのかな?と思いつつ、席を立ってドアを開けた。
「湊川さん?」
何も考えずにドアを開けると、赤髪をしていた男の子とその後ろに数人の男の人がいた。
予想外の来客に、思考が停止しピシッと固まってしまう。
「あ、あの先程の収録で一緒だったアイドリッシュセブンです!遅くなってすみませんが、柏葉さんにご挨拶に伺いました!」
緊張しているのか、顔を少し赤くして元気に話してくれた赤髪の人。
その間にも私の体は固まったまま。
アイドリッシュセブン、最近よくこの名前を行くことが多いけれどもなんでまた私なんかに?
いや、それは収録が同じだったからで。挨拶に来てくれたのはありがたいんだから楽屋に入れてあげた方がいいのかな?
流石にこの人数がずっと廊下にるのは他の人も気にしちゃうよね??
何か返事をしなくちゃとは思いつつも、頭がぐるぐるしてしまうだけで言葉が出ない。
「ハイ、ガール?ワタシはアナタに会うために生まれてきました」
そういって私の手を取り、挨拶をしてくた金髪の美形さん。
私が知っている初対面の距離感とは全然違ったため、違ったパニックを起こし、思いっきり固まってしまった。
そんな私の様子を見て他のメンバーの方が離してくれたけれども、私はハクハクと何か話そうとしているけれども声が出ない状況だった。
そんな私の様子を見ておかしいと思ったのか、アイドリッシュセブンの皆さんもお互い顔を合わせて困惑していた。