第1章 内気な子
ベットの上に座って少しずつ読み進めいている本を読む。
いい感じに睡魔がやってくるのを待っていると、本日二度目の着信が入ってきた。
確認するとこれまた龍之介さんからだった。
「はい、もしもし」
『あ、ななかちゃん?ごめんね、もう寝ていたかな?』
「大丈夫です。どうかしたんですか?」
『メッセージありがとうって言いたかったんだ。本当はメッセージのまま返せばよかったんだけど、今日直接会ったせいかまた声だけでも聴きたくなっちゃって』
「ありがとうございます」
体の力が抜けるのがわかる。
やっぱり、龍之介さんの声は聞くだけで安心する。
「それで、もしよかったらなんだけれども。今度久しぶりに休みをもらえるようになったんだ。もし予定が合うなら会いたいなって思うんだけど」
「会いたいです!いつぐらいですか?」
ベットから立ち上がって仕事の鞄からスケジュール帳を取り出す。
「再来週の土曜日になるんだ」
自分のスケジュールを確認すると午前中に雑誌の撮影と書かれていたけれども、午後からの予定は特になさそうだった。
「その日は午前から仕事があるんですけれど、午後からでよければ」
『本当に?うれしいな。じゃあまた詳細は送るよ。何かあったら連絡して』
「はい、わかりました」
ペンをとって、その日にハートマークを入れる。
これはちょっとした対策。万が一デートだと書いて誰かに見られたら大変なので、自分だけがわかるように龍之介さんとデートの日はハートマークを付けるようにしている。
「とっても楽しみです」
『俺もだよ。じゃあそろそろ』
「はい、おやすみなさい」
『うん、おやすみ』
電話を切るのが名残惜しくて、しばらく間ていると龍之介さんの方から切ってくれた。
スマホを置いてもう一度スケジュール帳をみて思わず顔がほころんでしまう。
「この日は何としても午後からのお仕事は空けてもらわなくちゃ」
いつの間にかすっかり焚きあがってしまっていたアロマペーパーの余韻を楽しみながらベッドの中に入った。
「はい、これ。次のドラマの台本ね」
お昼ごろ事務所にやってきた私は、湊川さんに昨日言われていた台本を渡される。
「ありがとうございます」